既存不適格マンションとは?住宅ローンへの影響や違法建築との違いも解説
更新日: 2023.03.14目次
中古マンションの売り出し広告を見ていると、相場よりかなり安い価格で市場に出されている物件を目にする機会はありませんか。お手頃な値段で条件の良いマンションを購入できるのは、買主側からするとうれしいことですよね。
しかし、安く売りだされているマンションにはそれぞれ理由があります。そのうちの一つが「既存不適格物件」です。
本記事では、既存不適格マンションの概要と住宅ローンへの影響を解説します。これからマンションの購入を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
既存不適格マンションとは?
既存不適格マンションとは、当時の法律に則って建築したにもかかわらず、後に法令改正を受けて基準を満たさなくなってしまったマンションのことです。
最初から法律に反して建てられたマンションではないため、購入したからといって行政から指導を受けることはありません。
また、既存不適格マンションは現在の法令や条例の基準を満たしていないに過ぎず、ほかの物件と比べて劣ったマンションというわけでもありません。
既存不適格建築物と違法建築物の違い
既存不適格建築物と似た呼び名で、違反建築物という言葉を見聞きしたことがある方もいるかもしれません。どちらも「不適格」や「違反」といったネガティブな言葉が入ることから、同じ類の建物と捉えられがちですが両者まったくの別物です。
以下の表に、それぞれの違いをまとめました。物件購入前に両者の違いを押さえましょう。
既存不適格建築物と違反建築物の大きな違いは、建築当時に法令を守って作られた建物であるかどうかです。既存不適格建築物は当時の法令や条例を遵守して作られた建物であるのに対し、違反建築物は建築当初から法令を無視して作られた建物といえます。
さらに違反建築が発覚した場合、その建物の建築者および所有者は行政から指導を受けます。指導に従わない場合、建物の撤去を命じられることもあるため、物件購入は慎重に進めなければなりません。
もし、既存不適格物件と違反建築物を同様のものだと勘違いして違反建築マンションを購入した場合、購入から間もなくして取り壊し工事が実施される恐れもあります。
既存不適格マンションになる5つのケース
既存不適格マンションの概要が分かったところで、次に具体的なケースをみていきましょう。
「既存不適格」と一口にいっても、種類はさまざまなものがあります。ここでは、代表的なケースを5つ紹介します。
用途地域の変更があった
用途地域とは、調和のとれた街づくりを目的として、エリアごとに建築して良い建物の大きさや使い方などのルールを定めたものです。住宅系や商業系、工業系など13のエリアに分けられています。
たとえば、店舗兼住宅を建てられる地域で1階をオープンカフェ、2階と3階を自宅として活用する建物を建てたとします。
しかし、建物を建てた用途地域の変更が生じ店舗の面積が基準に沿わない場合、その建物は既存不適格物件となります。
建蔽率や容積率に変更があった
建築基準法や都市計画の改正により、建蔽率や容積率に変更が生じ、既存不適格マンションとなってしまう場合もあります。
建ぺい率や容積率は、1971年以降各地で制限が設けられました。そのため、1971年以前に建てられたマンションは、現在定められている建蔽率や容積率の基準を超えている可能性があります。購入する際は、十分注意しましょう。
高さ制限に変更があった
建物を建てるときは、建蔽率や容積率と同様に高さにも制限が設けられています。建物の高さに変更が生じた場合、それ以前に建てられたマンションは既存不適格物件として扱われます。
高さに関する既存不適格でよく見受けられる事例は、高度地区における最高高さの制限です。最高高さ制限とは2004年に設けられた制限のことで、各地方自治体によって基準が異なります。
そのため、2004年以前に建てられたマンションは、既存不適格マンションになっている可能性があるでしょう。高度地区のマンションを購入するときは、最高高さ制限にも気を配る必要があります。
接道義務を満たしていない
建築基準法には、「建物の敷地は幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接しなければならない」と定められています。
建築基準法で接道義務が設定されたのは、1950年です。1950年以前に建てられた物件は、接道義務を満たしていない可能性があります。
さらに接道義務が満たされていない物件は、再建築不可物件となる点に注意しなくてはなりません。再建築不可物件となった場合、現在建っている建物を壊してしまうと新たな建物を建てられなくなり、物件購入後の用途が狭まってしまいます。
新耐震基準を満たしていない
耐震基準とは、建物が地震に耐えられる基準のことです。以前適用されていた「旧耐震基準」で建てられたマンションは、現在の耐震基準を満たしていないことから、既存不適格マンションと扱われる場合があります。
とはいえ、旧耐震基準で建設されたマンションが悪い物件というわけではありません。以前の耐震基準だからといって、すぐに建物が倒壊する心配もないでしょう。
しかし、旧耐震基準が採用されているマンションを購入すると、さまざまな不利益を被るのも事実です。たとえば、住宅ローンの審査が通りにくかったり、ローンを組んだときの節税対策につながる住宅ローンの控除が利用できなかったりといった不利益が生じます。
こうした不利益を被る理由は、大規模な地震が起きたときに備えて新耐震基準の建物への建て替えを促進するためです。
既存不適格マンションのメリット・デメリット
既存不適格マンションの購入は、デメリットばかり思いつく方が多いかもしれませんが、メリットもあります。
以下の表に既存不適格マンションを購入するメリットとデメリットをまとめました。マンション購入の際に、ぜひお役立てください。
既存不適格マンションを購入するメリットは、相場より安価で購入できることです。一般的な物件よりも広いマンションや立地の良いマンションを、低価格で手に入れられるかもしれません。
しかし、通常のマンションと比べると資産価値が低い点はデメリットです。将来売却するとき、資産価値の低さから住宅ローンの審査が通りにくく、なかなか買主が見つからない可能性もあります。
既存不適格マンションは住宅ローンに影響する?
結論、既存不適格マンションは住宅ローンに影響します。金融機関は融資するときに建物の担保価値を重要視するため、資産価値が低いマンションには融資が下りない場合がほとんどです。
とはいえ、すべての金融機関が担保価値の低いマンションの融資を断るわけではありません。金融機関の中には、ローンの限度額や返済期限などの条件付きで融資してくれるところもあります。
既存不適格マンションをはじめとする担保価値の低いマンションを住宅ローンを組んで購入しようと考えているなら、柔軟に対応してくれる金融機関を見つけるのがおすすめです。
自分で問い合わせるのが心もとない場合、不動産会社の担当者を頼って融資してくれる金融機関を紹介してもらうと良いでしょう。
よくある質問
Q1. 既存不適格マンションとは何ですか?
既存不適格マンションとは、当時の法律に則って建築したにもかかわらず、後に法令改正を受けて基準を満たさなくなってしまったマンションのことです。
Q2. 既存不適格マンションを購入すると犯罪になりますか?
なりません。行政から指導を受けることもありません。
ただし、売却時に時間がかかったり、値下げをしないといけない可能性があります。
Q3. 違法建築とは何ですか?
建築当初から法令を無視して作られた建物のことです。
Q4. 既存不適格になってしまうのはなぜですか?
「用途地域の変更があった」「建蔽率や容積率に変更があった」「高さ制限に変更があった」などのケースがあります。
Q5. 既存不適格マンションを購入するメリットは何ですか?
安いことです。
Q6. 既存不適格マンションのデメリットは何ですか?
資産価値が低いとみなされて、住宅ローンがつきづらい場合があることです。
まとめ
既存不適格マンションは、違反建築物と異なり法律を遵守して建てられた建物です。購入したからといって、行政指導を受ける心配もありません。
とはいえ、資産価値が低いことから住宅ローンの審査に影響がでることは事実です。前もって既存不適格物件を購入するメリットとデメリットを把握したうえで、購入するか否か検討することをおすすめします。
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