マンション購入で確定申告するべき理由と手順|必要書類や住宅ローン控除の要件も紹介
更新日: 2023.03.16目次
マンション購入の際、「確定申告」することで住宅ローン控除を利用できる場合があります。控除を利用すると節税対策になるため、積極的に活用したいですよね。
しかし、物件の引き渡しを終えると達成感を得てしまい、その後の手続きを忘れてしまう方も多いものです。
本記事では、マンション購入を考えている方に向けて、マンション購入で確定申告が必要な理由や申告の手順を紹介します。さらに確定申告を忘れたときの対処法も解説しますので、マンション購入の際にぜひお役立てください。
マンション購入時に確定申告が必要な理由とは?
結論から言うと、住宅ローン控除を利用するために確定申告が必要となります。新築、中古に限らずマンションを購入するときは、住宅ローンを利用する方が多いでしょう。控除を利用できれば、債務者の経済的負担を軽減できます。
とはいえ、住宅ローンの控除はマンションを購入するときにローンを組めば、自動的に利用できる制度ではありません。利用の際は、一定の適用要件を満たし確定申告する必要があります。
もし、確定申告を怠ってしまうと控除は利用できないため、利用を検討している方は注意しましょう。
住宅ローン控除の概要
住宅ローン控除は、一定要件を満たし確定申告することで利用できます。しかし、控除期間や金額は、居住する年度や物件の種類によってまちまちです。
以下の表に、物件の種類と居住年数ごとの控除期間や借入限度額をまとめました。控除を利用するときは、ぜひ参考にしてください。
参考:国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
住宅ローン控除の適用要件
ここで、令和4年以降における住宅ローン控除の適用要件を紹介します。以下の要件をすべて満たすマンションを購入した場合、確定申告することで控除を受けられます。
参考:国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
中古マンションでも控除は利用できる?
新築マンションなら上記要件を満たせば控除を利用できますが、中古マンションの場合は築年数や耐震基準も満たす必要があります。中古マンションにおける追加の適用要件は以下のとおりです。
参考:国税庁「No.1211-3 中古住宅を取得し令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
確定申告に必要な書類
次に、マンション購入時の確定申告で必要な書類と書類の入手場所を紹介します。申告期限ギリギリになって慌てて準備することのないよう、前もって用意しておくと良いでしょう。
それぞれの書類について、以下で詳しく説明します。
確定申告書
確定申告書には予定納税がない方が使用するAと、誰でも利用できる汎用版のBの2種類がありますが、会社員で住宅ローン控除を利用する場合はAを選びましょう。
住宅借入金等特別控除額の計算明細書
住宅借入金等特別控除額の計算明細書は、住宅ローン控除の申請書ともいえる書類です。マンションの購入価格や面積などの必要事項を記入して提出します。
明細書を書くときは、売買契約書や登記事項証明書を手元に置いておくと便利です。契約書や証明書には、明細書に記載する情報が記載されています。
住宅の登記事項証明書
住宅の登記事項証明書は、法務局の窓口をはじめオンラインや郵送での請求も可能です。オンラインでの請求は平日21時まで請求でき、ほかの方法より手数料が安く済むといったメリットがあります。
住宅ローンの残高証明書
住宅ローンの残高証明書は、毎年10月中旬~11月頃に借入している金融機関から送付されます。時期になっても届かない場合、金融機関に直接問い合わせてみましょう。
マンションの売買契約書
マンションの売買契約書は、契約を結んだときに不動産会社から交付されます。もし、手元に契約書がない場合は、取引した不動産会社に事情を説明してコピーをもらうと良いでしょう。
本人確認書類
本人確認書類は、マイナンバーカードの提示を求められる場合が多くなります。カードを持っているなら、カードの表裏を両面コピーして準備しておきましょう。
また、マイナンバーカードを持っていない場合、通知カードのコピーと運転免許証やパスポートなどの顔写真付きの証明書のコピーを提出する必要があります。
源泉徴収票
マンション購入に伴い確定申告する際、源泉徴収された所得税を把握するために源泉徴収票の用意が必要です。なお、確定申告の際に源泉徴収票の提出は不要となります。
マンション購入時における確定申告の手順
最後に、確定申告の手順を紹介します。マンション購入に伴い初めて確定申告する方は、大まかな流れを把握することでスムーズに手続きを進められます。申告前に手順を押さえておきましょう。
①必要書類を準備する
②確定申告書を作成
③(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書を作成
④書類を提出
確定申告する期間は、マンション購入の翌年2月16日~3月15日までの間です。たとえば、令和4年11月30日にマンションを取得した場合、確定申告する期間は令和5年2月16日~3月15日までとなります。
また、確定申告の経験がない方だと書類の作成が難しく感じるかもしれません。書き方が分からない場合は、国税庁が運営している「確定申告書等作成コーナー」のインターネットサイトを活用することをおすすめします。
なお、確定申告の書類の提出場所は、納税地の税務局です。市役所では申告できないため、提出場所を誤らないよう気を付けましょう。
2年目以降の申請は確定申告しなくても良い?
マンション購入の1年目は必ず確定申告にて控除利用の手続きが必要ですが、2年目以降は年末調整でも手続きできます。
年末調整の書類に「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書兼年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」と「住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書」の2つを添付して提出すれば事足ります。
しかし、個人事業主や2社以上から給料をもらっている会社員は、必ず確定申告が必要です。申告を忘れないよう気を付けましょう。
マンション購入時に確定申告を忘れた場合
確定申告を忘れてしまったら、気づいたときにすぐ申告しましょう。申告するべきタイミングから5年以内であれば、住宅ローン控除を利用でき還付を受けられます。
なお、マンション購入時の確定申告は必須ではないため、確定申告を忘れたからといって加算税や延滞税などのペナルティが課される心配はありません。
参考:国税庁|No.2024 確定申告を忘れたとき
よくある質問
Q1. マンションを購入したら確定申告をする必要がある理由は何ですか?
マンションを購入する場合、所得税や固定資産税の控除や特別償却、減価償却などの税制上の優遇措置があるため、確定申告を行うことで税金を節約できる場合があります。
Q2. 確定申告の期限はいつですか?
確定申告の期限は、通常は翌年の3月15日までとなっています。ただし、確定申告を任意で提出する場合は、所得税については翌年の2月15日まで、固定資産税については納税期限までに提出する必要があります。
Q3. 確定申告のために必要な書類は何ですか?
確定申告のために必要な書類には、不動産取得税の納付書、固定資産税の納付書、所得税の源泉徴収票や領収書、住宅ローンの控除証明書などです。
Q4. 中古マンションで住宅ローン控除を受ける時の要件は何ですか?
・昭和57年1月1日以降に建築されたものであること
・昭和57年1月1日以前に建築された建物である場合、耐震住宅であること
参考:国税庁「No.1211-3 中古住宅を取得し令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
Q5. 確定申告の手順を教えてください。
(1)必要書類を準備する
(2)確定申告書を作成
(3)(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書を作成
(4)書類を提出
Q6. 確定申告の書類の提出場所はどこですか?
納税地の税務局です。市役所では申告できないため、提出場所を誤らないよう気を付けましょう。
まとめ
10年以上の住宅ローンを組んでマンションを購入すると、新築、中古に限らず確定申告すれば住宅ローン控除を利用できる場合があります。
物件の条件によっては数十万円ほど還付を受けられる可能性もあるため、申告を忘れないよう気を付けましょう。