マンション購入時の「手付金」とは?役割や金額について解説
更新日: 2023.01.19目次
分譲マンションをはじめとした、不動産を購入する際には専門用語も多く、理解が難しい仕組みが存在しています。
たとえば、不動産会社に対し、物件の斡旋や仲介を依頼するために締結する「媒介契約」も普段の生活では聞くことのない契約の種類です。また購入後、引き渡しされた建物に対して構造上の不具合などが見つかった場合に適用される「契約不適合責任」も、不動産業界の特有な言葉といえます。
そして、分譲マンションを購入するため「売買契約」を締結した際に、売主に対して支払う『手付金』にも、いくつかの種類があり、不動産の取引を難しくする原因となっています。
今回は、不動産独特の『手付金』の仕組みについて、マンション購入時を例として解説します。
分譲マンション購入時の手付金とは
分譲マンションを購入する際の手付金とは、一般的に不動産の売買契約を締結する際に、買主から売主へ渡す金銭を指します。
あくまで「支払う金銭」ではなく「渡す金銭」と表現しているように、この手付金は『代金として支払うものではなく預けている』ためです。
また、手付金には「解約手付」「違約手付」「証約手付」 の3種類が存在しますが、買主の立場から見るとマンション購入時の手付金とは解約手付を指すことが多いです。
「解約手付」によって契約解除が可能
分譲マンションを購入した際、実際に解約手付金が登場するのは『契約を解除(破棄)したいとき』です。本来、契約を締結する=そのまま引き渡しを行い入居するため、であることから、多くの契約において解約手付を利用することはないでしょう。
買主が契約解除を希望する場合
もし買主が契約の解除を希望する場合、契約時に預けている手付金の権利を放棄することにより可能です。この仕組みを『解約手付』といいます。
ただし、売主が契約に対して「履行の着手」を行っている場合は、解約手付として手付金を放棄しても、売買契約を解除はできません。
具体的な売主による履行の着手とは、その不動産の引き渡しや法務局にて移転登記の準備を完了していることなどです。
売主が契約解除を希望する場合
一方で、売主側も同様となり、買主が契約の履行に着手していない場合に限り、 契約の解除を主張することが可能です。
その場合、買主は新たに購入する物件を探す必要が生じること、今後の賃料など今の住まいの維持費や迷惑料などを考慮し、買主は解約手付として手付金を放棄することで解除できるのに対し、売主が解除する場合は、手付金の2倍の金額を支払う必要があります。
また買主における契約履行の着手とは、 手付金だけではなく中間金や実際の住宅ローンの支払い手続きを実施している場合、 また売主に対して移転登記などの準備を催告している場合です。
ただし、後々催告の証明をおこなうことは難しいこともありますので、仲介を請け負う不動産会社を通じて書面、またはメールなどの文章で行うことや、面倒でも配達証明付き内容証明郵便を利用することをおすすめします。
契約違反のときには「違約手付」
契約違反による契約解除のときには、前項の「手付解除」ではなく、違約金を支払いが必要です。買主が契約違反をした場合、手付金は没収されます。売主が契約違反をした場合は、手付金の2倍の金額(手付金の返還+手付金と同額)を違約金として支払わなければなりません。
売買契約書には、手付金をどのように扱うのか(手付金にどのような役割を持たせるのか)が記載されているので、契約前によく確認しておきましょう。
「証約手付」と不動産売買契約について
さらに、前述の「解約手付」や「違約手付」とは、性質が異なるのが『証約手付』です。
こちらは売買契約が成立したことを示したものであり、いわゆる一時金の性質を持っています。
ただし不動産売買契約においては、 この証約手付は買主が売主に対し手付金を渡したタイミングから、証約手付でもあり解約手付の性質も持ち合わせるものです。
そのため、証約手付について説明をすることは、あまり意味をなさないため、不動産における手付金とは証約手付ではなく、解約手付を指すのが一般的となっています。
手付金の具体的な支払いについて
それでは手付金(解約手付)の支払いについて、法律で定められている金額や支払いを実施するタイミングなど、具体的に説明します。
手付金の金額について
手付金は『売主が不動産会社である場合、売買契約金額の20%まで』と定められています。
一方で、売主が不動産会社(宅建業者)ではない場合は金額に制限がないため、極端にいうならば契約金額の100%としても問題はありません。
新築マンションや戸建の場合、売主は不動産会社であることが一般的なため手付金は20%までとなり、中古物件の取引の場合は売主が個人となることが多いため、その制限はなく100%までと考えておけば良いでしょう。
なお、一般的な取引の目安として、手付金は5%から10%、金額として100万円から400万円程度とする傾向にあります。
手付金を支払うタイミングについて
手付金は解約手付の性質を持つことから、不動産における売買契約を締結したタイミングで支払うのが一般的です。
本来であれば、売買契約を締結するということは、当然ながら双方が契約を履行する意思を示したことになりますので、この手付金は一時金(デポジットの方が的確)の意味合いが強いものと考えると良いでしょう。
契約により、中間金や頭金といった呼ばれ方をするときもありますが、基本的には契約履行に対する保証という意味合いが強いです。
契約履行時また解除後の手付金について
前述の通り、売主が契約を履行する前であれば、買主は解約手付として手付金の放棄をすること。
売主は買主が契約を履行する前であれば、解約手付として手付金の2倍の金額を支払うことにより、契約の解除を申し出ることが可能です。
双方とも、相手方が履行する前であればという条件があり、契約履行後に契約を解除する場合は、手付金ではなく損害賠償の支払いが必要となることには注意が必要です。
また、双方共の申し入れにより契約を解除する場合や、不測の事態により、やむを得ない理由で契約が履行できない場合については、売主は買主に対して、手付金を返金し契約を解除します。
手付金で知っておきたい住宅ローン特約について
手付金に関する条文を取り交わす際には『住宅ローン特約』の記載が重要です。
住宅ローン特約とは、売主と買主の間において契約を締結した後に、金融機関に対して住宅ローンの申し入れをした結果、審査に落ちてしまい住宅ローンを借りることができない場合、自動的に締結した不動産の売買契約を解除し『手付金は全額返金する』旨を記載したものです。
つまり、住宅ローンの審査に落ちた場合は、自動的に契約を解除し手付金も返金されるために結ぶ特約です。
もし、住宅ローン特約の条項がない場合において、金融機関の住宅ローン審査に落ちてしまうと、手付金を放棄して売買契約を解除する必要が生じます。
あらかじめ金融機関に対して、住宅ローンの仮審査を申し入れするなど、事前防止策は存在しますが、金額が大きいだけに、どのような事態が起きるかわかりませんので、しっかりと住宅ローンの特約は記載したうえで、契約を締結するのが最善でしょう。
手付金についての考え方
ここまで記載したように、不動産の売買契約における手付金とは、双方が安心して契約を履行するための保証金(デボジット)の性質を持ち合わせているものと考えると良いでしょう。
また、住宅ローン特約を締結することにより、万が一、金融機関の審査結果により、契約の履行ができない場合も、手付金の全額返金を要求することが可能です。
それでも、決して安くない手付金を預けるという行為は不安を覚えるものであり、できるだけ手付金額を少なくしたいと考えるのも当然です。
しかし、買主が契約の履行をする前であれば「売主は手付金の2倍の金額を支払うことにより契約解除の申し出ができる」ことがあるため、ある程度の金額を預けることにより、解除の可能性を無くすことになり、売主に対して滞りのない契約遂行をさせることにつながります。
これは、個人の考え方による違いですので、正解はありません。
購入しようとする分譲マンションの金額であったり、頭金として用意している金額であったり、自身の状況と相談しながら考えることが重要であり、不動産会社に相談しても良いでしょう。
一般的に手付金という言葉は、あまり使用する機会が少なく、不動産においては性質上の仕組みが難しいところはありますが、住宅ローン特約を含めて、しっかり理解しておくことが、分譲マンションを購入する際のトラブル防止の最善策です。
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