ついに不動産の売買でも電子契約が解禁に!宅建業法の改正による変更点を解説
更新日: 2023.03.10目次
近年、デジタル化の推進やコロナウイルスの流行などにより、社会が変化しテレワークとも称される在宅勤務という言葉も一般的になりました。
そして、その変革の波は不動産業界にも波及することとなり、2022年の5月より不動産取引についても電子契約が可能となりました。
不動産の契約について、電子契約が可能となると、私達にとって、どのような変化が生じるのでしょうか。
また、どこまで契約行為について電子契約とすることが可能なのでしょうか。
不動産取引において、ついに実現可能となった電子契約について、簡単に説明していきます。
宅建業法の法改正について
コロナ禍の影響により、2021年5月に契約書の効力を「契約書面に押印」しなくとも「電子媒体」で認める『デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律(デジタル社会形成整備法)』が成立しました。
一方で、これまで宅地建物取引業法により、不動産の取引が行われる際は、不動産会社の担当者(宅地建物取引主任者)と買主は対面および書面交付により「重要事項の説明」および「売買契約の締結」を行うことが義務付けられていました。
そのためデジタル社会形成整備法で電子契約が認められていても、宅地建物取引業法では対面による書面交付が必須とされているため、電子契約は認められない状態となり、2つの法律が相まみえない状態が続いていました。
しかし、デジタル社会形成整備法の成立より遅れること1年、2022年5月に宅地建物取引業法等の改正が実施され、対面による書面交付が必須項目から解除となったことから、不動産取引においても電子契約が可能となったのです。
宅地建物取引業法が改正された経緯
今回、改正されることとなった大きな要因は、コロナ禍の長期化も影響しますが、何より外出が自粛となり実際に物件を見る内見数が減少しており、不動産業界全体の動きが鈍くなっていることも考えられます。
もちろん電子契約に必要となるオンライン会議・ビデオツールが充実してきたことも考えられるでしょう。
ただ2022年を迎えた今となっては、双方が足を運んで対面で説明を行い、宅地建物取引主任者と共に押印して契約行為を行うことが、少し時代にそぐわないのかも知れません。
単純に考えるなら、契約書などの書面を紙に印刷しないだけでも、地球に優しいエコな行為だと思います。
不動産取引において電子契約が可能になったもの
今回の法改正により、実際に契約書面の交付が不要となり、電子契約が可能となった契約書は以下のとおりです。
- 媒介契約書
- 重要事項説明書
- 不動産売買契約書
- 賃貸借契約書
- 定期借地権設定契約書
- 定期建物賃貸借契約書
これらが電子契約可能となったことにより、不動産の売買を含む取引がすべてオンラインで完結できるようになりました。
不動産業界から見ると画期的なことだと言えます。
媒介契約書
媒介契約書は、売主が不動産会社に依頼する際に「購入希望者の探し方・報告方法」や「実際に契約が成立した際の手数料」などを明確にするものです。
この媒介契約書が電子契約となったことにより、売主が不動産会社を訪れること自体が無くなるかも知れません。
重要事項説明書
不動産の取引における借主、または買主に対して宅地建物取引主任者が行う説明事項を記載したものを重要事項説明書といいます。
過去にIT重説として、WEB上での説明が可能ではありましたが、それに付随する形で電子契約が可能となり、書面送付のやり取りが不要となりました。
不動産売買契約書
マイホームを購入する際に締結する契約書です。
今回の法改正において、この契約書の電子契約が可能となったことが、不動産業界に大きな変化をもたらしています。
賃貸借契約書
賃貸マンションやアパートを借りる際に締結する契約書。
この契約書と重要事項説明書が電子契約で締結することが可能となったことから、たとえば地方から都会へ出てくる新大学生でも、わざわざ交通費をかけて移動することなく契約が可能となりました。
Googleマップで周辺環境を確認して、Googleストリートビューで外観を見る。
● そして物件の室内は360°のバーチャルカメラで確認して、問題がなければ、そのまま電子で契約するという、まるでSF映画のような未来が実現されるかも知れません。
不動産取引における契約は電子が主流となるのか
今後、間違いなく増えていくであろう電子契約ですが、まだまだ問題点も多く普及するのは少し先になると予測されています。
宅地建物取引業法上は、あくまで今まで対面説明を行い書面交付を義務付けていたものを撤廃したに過ぎません。つまり電子契約を新たに義務化した訳ではなく、電子契約も可能にしたのです。
大いにメリットのある電子契約ですが、電子マネーが種類の乱立などもあり緩やかな普及であるように、不動産業界における電子契約も緩やかな動きを見せると言われています。
電子契約による問題点
大きな問題点はオンラインであること、そのものです。
在宅勤務の浸透とともにオンラインで接続する会議ツールも多く誕生し、Zoom Meetings(ズーム)・Google Meet・Webex meetings・Microsoft Teams・Skypeなどなど、思いつくだけでも幾つかの種類が浮かびます。
これらの中から不動産会社が使用するツールに合わせて対応するのは、売買主としても負担です。
また重要事項説明時に音声が途切れたり、映像の乱れや遅延が発生した場合は宅地建物取引主任者が原因を解明する必要があります。これをシステム担当者でもない営業マン(宅地建物取引主任者)が対応するのは、少し酷でしょう。
さらには重要事項説明書や契約書を送付する際のファイルフォーマットの問題もあります。
電子契約によるメリット
電子契約を行うことになれば、自宅で完結することが可能となるため、移動する必要はありません。
交通費と時間の節約となり、さらにはコロナウィルスの感染対策にもなります。
また電子契約書には収入印紙を貼る必要がありません。
一般的な不動産購入価格に当てはまる1,000万円〜5,000万円の契約価格帯では、契約書毎に2万円の収入印紙が必要です。
土地や建物の購入契約、注文住宅であれば建設請負契約、そして住宅ローンを申し込む際の金銭消費貸借契約の、それぞれに必要となりますが、電子契約で締結する場合は全て不要となります。
このように時間とお金の両方を節約することができるのは、不動産取引における電子契約の最大のメリットと言えるでしょう。
よくある質問
Q1. 不動産の売買契約を電子契約で実施することは可能ですか?
可能です。2022年5月に宅地建物取引業法等の改正が実施され、対面による書面交付が必須項目から解除となったことから、不動産取引においても電子契約が可能になりました。
Q2. 電子契約ができるようになった書類は何ですか?
具体的には、媒介契約書、重要事項説明書、不動産売買契約書、賃貸借契約書、定期借地権設定契約書、定期建物賃貸借契約書です。
Q3. 媒介契約書とは何ですか?
媒介契約書は、売主が不動産会社に依頼する際に「購入希望者の探し方・報告方法」や「実際に契約が成立した際の手数料」などを明確にするものです。
Q4. 媒介契約に種類はありますか?
専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3種類があります。
Q5. 売買契約をこれまでどおり、紙で実施することは可能ですか?
可能です。電子契約は義務ではないため、希望の方法を選ぶことができます。
まとめ
大きなメリットが得られる不動産取引における電子契約の解禁。
これから不動産会社は、様々な準備を進めていくことでしょう。
現在、一部の不動産会社ではオンライン接客という仕組みを取り入れています。
まだまだ慣れない仕組みではありますが、不動産業界に蔓延る「なんだか怖くて店に入りにくい」というイメージを緩和する効果も期待できます。
ここ数年、今までのように外で過ごす時間は減少し、自宅で過ごす時間が増加したことからマイホームの充実が見直されています。法改正により、その需要を大きく促進することに繋がれば不動産業界も活性化し、経済の好転に繋がるかもしれません。
電子契約が可能となった一連の法改正は、それだけの可能性を秘めた大きな変更だといえるでしょう。
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