オーナーチェンジですぐ値上げしたい!手順やトラブルリスクを分かりやすく解説
更新日: 2023.03.10目次
不動産の投資市場が活発化しており、オーナーチェンジも珍しいことではなくなりつつあります。
投資の中では問題点が多く、難易度が高いオーナーチェンジですが、賃貸人の変更に伴う賃料(いわゆる家賃)の値上げは可能なのでしょうか。
賃料値上げに必要な条件と、値上げまでの手順を解説します。
オーナーチェンジとは
オーナーチェンジとは、物件の売買を行う際に「入居者がいる」状態を指します。
その建物の入居者(=賃借人)は変更せず、オーナー(=賃借人)だけが変更になるため『オーナーチェンジ』と呼ばれています。
もし入居者がいない(=空き部屋)の場合は、単純な売買契約です。
入居者から見るオーナーチェンジの影響
賃借人となる入居者の立場から見ると、オーナーチェンジによる「影響はない」と考えられます。
もし、影響があるとすれば管理会社の変更や、賃料の振込先に変更がある場合でしょう。
突然の通知に驚く
オーナーチェンジのお知らせは、基本的に入居者全員に対して文書などが送付されます。
賃貸人が変更となることについて、通知を受けた入居者は「何がどうなるのか不明」であるのが一般的な反応です。
むしろ、何がどうなるというより、ただ驚くという表現の方が正しいかも知れません。
賃料の値上げについて
ただ驚いているだけの入居者に対して、毎月の賃料を値上げするには、順をおって対応していく必要があります。
たまに、オーナーや管理会社が、一方的に通知するケースを見受けますが、それは横暴なやり方であり、無効となります。
ほとんどの賃貸契約書の条項に「賃料の増減は双方協議により」という文言が記載されています。
そのため、入居者の合意がなければ賃料の改定も成されないのです。もちろん、契約書に記載がなくとも借主保護の観点から、双方の合意を得ないまま賃料の変更は認められません。
必要となる要件
オーナーチェンジだけではなく、賃貸住宅における賃料の値上げについては借地借家法32条1項が根拠要件となります。
ここに記載されている内容を要約すると、賃料の値上げ(または値下げ)に関する考え方は、以下の3つによるものです。
- 建物および土地の課税額が増えた
- 建物および土地の資産価値が高くなった
- 周辺の賃料相場と比較して著しく賃料が低い
これらの条件より「適正な価格よりも賃料が低い」場合に、賃料値上げの交渉が可能となります。
値上げ交渉の進め方
値上げ交渉のゴールは『賃借人である入居者の合意を得ること』です。
そのために行う選択肢は少なく、結局はコツコツと交渉するしかありません。
一般的な流れとしては、書面にて値上げとなる理由を示し、合意する場合は記名のうえ返信を依頼します。
ここで記名、返信が成されればスムーズな値上げ交渉の成功となります。
返信がない場合、入居者が拒否している場合のみならず「単純に郵便物を見ていない」「返信することを忘れていた」などの可能性もあります。
そのため、1度の送付で済まさず2度、3度と送付することも重要です。
入居者の同意が得られない場合
入居者からの同意が得られない場合、また返信がない場合は電話連絡するか訪問することになります。
ただし、いきなり男性が訪問して「賃料を値上げさせろ」ということは、トラブルになりやすいので注意が必要です。
特に入居者が女性の場合は、意識するべきでしょう。
それでも、承諾が得られない場合は裁判により賃料が適正価格かどうか、判断をあおぐことになります。
ここで気をつけるべきは、賃料が適正価格を上回っていると判断されることです。
裁判によるリスク、また時間と労力を要すること、さらに裁判となる場合、ほとんどの入居者が退去を考えることによる空室リスクは、よく考えることです。
賃料値上げによるトラブル
賃料の値上げを入居者に求めることにより、様々なトラブルが発生する可能性があります。
裁判まではならないにしても、賃料の値上げを求められた時点で、オーナーに対して不信感を抱くことは間違いありません。
また、賃料値上げに関する理由について不明確である場合も同様です。
そもそもオーナーチェンジの時点で、入居者は身構えているのです。そこに、新しいオーナーから賃料を上げさせてほしいと伝えられたとしたら、その印象は良いものではないでしょう。
入居者の退去による空室リスク
交渉の結果、賃料値上げに応じたとしても、退去する可能性があります。
これは周辺の相場にもよりますが、いまの住まいの近くに引っ越すことで賃料が安くなるのであれば、当然ともいえるでしょう。
たとえば、今の賃料が70,000円として、5,000円値上がりしたとします。
ところが値上げしたことにより、半年後には退去してしまい、次の入居者が見つかるまで2ヶ月空室だとすると、どうでしょうか。
値上げによる収入:5,000円×6ヶ月=30,000円
空室による収入減:70,000円×2ヶ月=140,000円
差し引いて110,000円の損失となっています。
このように値上げ交渉をすることによる、空室になるリスクは意識しておくことが大切です。
夜逃げに繋がるケースも
また裁判となることで、夜逃げするケースも増えてきます。
これは生活に困窮している入居者が「値上げされると生活ができない!」と思い悩み、結果として思い切った行動をするからです。
夜逃げになると、そのことに気付いてから、法的に対応するまでの期間、賃料が未払いになるだけではなく、残された家財道具の処分や修繕費用もかかります。
これらには敷金や保証金を充当することが可能ですが、手間を含めると、決して十分な金額とはならないでしょう。
賃料未払いの原因に
入居者においては、法律で手厚く保護がされているため『問題が発生した場合、解決するまでは賃借人が適正価格と認める賃料を支払いすれば良い』と思われています。
もちろん、この考え方は誤りで、本来であれば主張している金額に合意が得られるまでは、従前の賃料(先の例えでは70,000円)を支払う必要があります。
ところが賃料値上げを受けたことにより「ここの管理が不足している」「ここの設備故障を放置している」「隣や上下階の賃料より高い」などの理由により、値下げを主張するとともに、値下げ後の金額しか支払わないケースが横行しています。
この金額は裁判などで適正価格が示された後、差分があれば支払い要求が可能となります。
しかし、労力を考えると、費用対効果としては疑問が残る対応を強いられることになります。
よくある質問
Q1. オーナーチェンジ物件とは何ですか?
賃借人がいる状態で売買される物件のことです。
Q2. 賃借人にオーナーが変わったことを知らせるのはいつですか?
引き渡しを終えた後です。「賃貸人変更通知書」を送付することによってお知らせします。
Q3. 賃料値上げの交渉ができるのはどんなときですか?
基本的には、適正な価格よりも賃料が低い場合です。
Q4. 賃料値上げの交渉はどのように進めれば良いですか?
一般的な流れとしては、書面にて値上げとなる理由を示し、合意する場合は記名のうえ返信を依頼します。
Q5. 賃料値上げについて、賃借人の同意が得られない場合はどうすれば良いですか?
交渉により同意が得られない場合は、裁判で判断を仰ぐことになります。
まとめ
オーナーチェンジによる値上げについて、明らかに周辺相場などと比較して安すぎる場合を除いては「合意が得られたらラッキー」程度で考えておくのが良いでしょう。
不動産投資における利回りを見る際に、賃料の値上げを前提としている場合は、とてもリスクが高いものです。
またオーナーチェンジ物件は室内の仕様状況が不明です。
そのため退去してみたら、相当に劣悪な状況にある場合も考えられます。
また悪質な場合、そうした状況を隠して売買するために、入居者がサクラであることも考えられます。
いずれにしても、オーナーチェンジはあらゆる可能性を考えて行うことが大前提であり、値上げについてはより慎重に検討することが大切です。
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