サラリーマンが不動産投資で節税できるのか税金シミュレーション
更新日: 2023.03.16目次
不確かなこの時代。
世間には、あらゆる投資情報や、節税の情報が溢れています。
その一つが、サラリーマンによる、節税のための不動産投資です。
しかし、不動産投資をすると家賃などの収入が増えるため、節税どころか増税されるのではないか、と思う方もいることでしょう。
実は税金の仕組みをきちんと理解していれば、不動産投資は節税につながるのです。
本記事では、不動産投資がどうして節税になるのかを解説していきます。
サラリーマンが不動産投資で節約できる税金は3種類
サラリーマンが不動産投資をすることにより節税できる主な税金は、以下の3つです。
サラリーマンが不動産投資で節税できる税金
(1)所得税
(2)住民税
(3)相続税
まず、節税の仕組みの話をする前に、不動産投資をすることで節税できる税金の内容から解説していきます。
所得税とは?
所得税とは、1月1日から12月31日までに得た所得に対して課税される税金です。
所得には不動産所得や事業所得、給与所得など10種類の所得があります。
所得税の計算方法は、どのような所得を得ているのかにより異なります。
次の計算方法は、給与所得を得ている場合の計算方法です。
所得税額の求め方
所得税額 = 課税所得金額 × 所得税率 - 控除額
なお、所得税は累進課税制度を取っており、課税所得額が大きくなればなるほど税金が上がっていきます。
住民税とは?
個人住民税とは、行政サービスの活動費用に充てる税金で、その地域に住む個人に課す地方税です。
住民税には市町村民税と道府県民税があります。
所得割額と均等割額を足したものが住民税額になります。
所得割額の計算方法は次のとおりです。
住民税の算出方法
(1)(所得額 – 所得控除額)= 課税所得金額
(2)(課税所得金額 – 税額控除)× 税率 = 所得割額
そして、
(3)所得割額に均等割額(5,000円※自治体により異なる)を足したものが住民税額です。
相続税とは?
相続税とは、資産を相続した場合に資産価値に応じて相続をした人が納める税金のことです。
相続税の計算方法は、次のとおりです。
相続税の求め方
相続税 = 相続される資産額 – (3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)
上記、計算式で求めた相続税額を法定相続人の法定持分に分けて相続税を納税します。
なお、相続税も所得税と同じく累進課税制度を取っており、基礎控除を除いた資産額が大きくなるほど税率が上がる仕組みになっています。
不動産投資の節税の仕組みと条件
ここからは、節税の仕組みや条件を解説していきます。
損益通算ができる
不動産投資をして節税になる理由の1つが損益通算できることが挙げられます。
損益通算とは、赤字になった所得を、他の黒字になっている所得からマイナス計上することです。
損益通算できる所得は限られており、株やFXで出た損失は損益通算することができません。
そのため、損益通算は不動産投資ならではのメリットといえます。
減価償却費を計上できる
不動産投資用に購入した収益物件には減価償却が認められ、毎年建物の減価償却費用を計上することができます。
減価償却とは、建物の資産価値は年を経過するごとに失われていくという考えです。
この減価償却のもと、毎年下落した資産価値を経費として計上できるのが減価償却費です。
減価償却費は、実際に支払いが行われていないのにも関わらず計上できる経費で、この減価償却費を所得と相殺して税金を抑えます。
節税効果が高い人と低い人
不動産投資は節税をすることができる投資方法です。
しかし、不動産投資をする人の状況によっては節税効果が高い人と、節税効果が低い人が出てきます。
ここからは、節税効果が高い人はどのような人なのか、低い人はどのような人なのか解説していきます。
節税効果が高い人【所得900万円以上の人】
不動産投資で節税効果が高い人は、所得が900万円以上あり減価償却による損益通算で所得が900万円未満に落とせる人です。
所得税は累進課税制度を取っており、所得が高くなればなるほど税率が上がっていきます。
この累進課税制度で大きく税率が上がるのが、所得900万円以下と900万円超えの境になります。
この境を超えると税率は23%から33%へ跳ね上がってしまい、10%もの税率の違いが出てきます。
この10%の差はかなり大きいため、所得が900万円以上ある人が900万円未満に所得を抑えることができれば、大きな節税効果を生みます。
低い人【所得が少ない人】
不動産所得による節税効果が低い人は、もともと所得が少ない人です。
所得がもともと少なければ、減価償却による損益通算を利用してもあまり納める所得税や、住民税に差が出ません。
しかし、節税効果がまったくないわけではなく、確定申告をおこうときに青色申告で申告するなどの控除を組み合わせれば税金を抑えていくことは可能です。
節税額のシミュレーション【不動産投資をしない場合と比較】
不動産投資をすることにより節税ができるということを解説してきました。
ここからは、具体的にどのくらいの税金が節税できるのかをシミュレーションしていきます。
ただし、計算を簡略化するため一部の控除などは記載していません。
所得税
シミュレーション例
①給与所得1,000万円、②不動産所得が減価償却マイナス200万円だった場合
給与所得、不動産所得は損益通算ができるため
①1,000万円 - ②200万円 = ③800万円(課税所得金額)
課税所得金額が800万円の場合の④税率は23%、⑤基礎控除は63万6,000円のため
③800万円 × ④23% - ⑤63万6,000円 = 120万4,000円(所得税)
給与所得1,000万円だけ受け取っていた場合
③課税所得金額が1,000万円の場合の④税率は33%、⑤基礎控除は153万6,000円のため
③1,000万円× ④33% - ⑤153万6,000円 = 176万4,000円(所得税)
このシミュレーションの場合は、所得税の差が56万円になるとの計算になります。
住民税
シミュレーション例
住民税は所得税と同じく損益通算ができるため、所得税と同じような計算となります。
①給与所得1,000万円、②不動産所得が減価償却マイナス200万円だった場合
給与所得、不動産所得は損益通算ができるため
①1,000万円 - ②200万円 = ③800万円(課税所得金額)
住民税の基本税率は④10%(内訳:都道府県税4%、市区町村税6%)、⑤均等割が5,000円のため
③800万円 × ④10% + ⑤5,000円 = 80万5,000円(住民税)
給与所得1,000万円だけ受け取っていた場合
③課税所得金額が1,000万円の場合の④税率は10%、⑤均等割が5,000円のため
③1,000万円× ④10% + ⑤5,000円 = 100万5,000円(住民税)
このシミュレーションの場合は、住民税の差が20万円になるとの計算になります。
相続税
相続税の計算は、相続する資産の価値を基に計算をします。
現金の場合は、現金の金額をそのまま計算に用います。
しかし、不動産の場合は路線価を基に計算をします。
この路線価は実勢相場の8割を目安として金額が算出されているため、現金よりおおよそ2割低い評価額となります。
このことを利用して相続税の税額を抑えていきます。
シミュレーション例
相続財産現金1億5,000万円、相続人1人、基礎控除3,600万円だった場合
①1億5,000万円 - ②3,600万円 = ③1億1,400万円(課税評価金額)
課税評価金額が1億1,400万円だった場合、④税率は40%、⑤控除額は1,700万円のため
③1億1,400万円 × ④40% - ⑤1,700万円 = 2,860万円(相続税)
収益物件1億5,000万円(相続評価は80%の1億2,000万円)、相続人1人、基礎控除3,600万円だった場合
①1億2,000万円 - ②3,600万円 = ③8,400万円(課税評価金額)
③課税評価金額が8,400万円の場合の④税率は30%、⑤基礎控除は700万円のため
③8,400万円× ④30% - ⑤700万円 =1,820万円(相続税)
このシミュレーションの場合は、相続税の差が1,040万円になるとの計算になります。
節税目的で不動産投資をするときの注意点
サラリーマンが不動産投資を節税目的でおこなう場合には、勤務している会社は不動産収入などを得るための副業を許可しているか注意しなければなりません。
会社は住民税の金額を把握することができるため、給与所得で計算した住民税額よりも少なくなったり、多くなったりしたことが分かってしまいます。
そのため、会社から給与所得以外に何か収入があるのではないか、副業をしているのではないかと突っ込まれてしまう可能性があります。
よくある質問
Q1. サラリーマンが不動産投資で節税できる可能性がある税は何ですか?
所得税、住民税、相続税を節税できる可能性があります。
Q2. 所得税とは何ですか?
1月1日から12月31日までに得た所得に対して課税される税金です。
所得税額 = 課税所得金額 × 所得税率 - 控除額
Q3. 住民税とは何ですか?
行政サービスの活動費用に充てる税金で、その地域に住む個人に課す地方税です。
Q4. 相続税とは何ですか?
資産を相続した場合に資産価値に応じて相続をした人が納める税金です。
Q5. 不動産投資で節税ができる理由を教えてください。
(1)損益通算ができるから(2)減価償却費を計上できるから、が主な理由です。
Q6. 不動産投資はみな節税できるのですか?
節税効果が高い人と低い人がいます。
高い人は、所得が900万円以上あり減価償却による損益通算で所得が900万円未満に落とせる人です。
Q7. 所得が少ないとき、不動産投資による節税効果は全くありませんか?
まったくないわけではなく、確定申告をおこうときに青色申告で申告するなどの控除を組み合わせれば税金を抑えていくことは可能です。
まとめ
不動産投資は、所得税や住民税、相続税を節税する目的でおこなうことができます。
所得税や住民税は減価償却による損益通算を利用し、相続税は現金から不動産に変えることにより相続資産の評価減を受けることになります。
それぞれの節税は、人によってメリットが大きかったり、小さかったりします。
自身がどのくらい節税できるのかは、税理士などの専門家に相談しながら進めていくようにしましょう。
適切な節税方法で、最適な税額を納め、収益物件を運用していくことが大切です。
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