過信にご注意 | 表面利回り・実質利回りの違いと3つの注意ポイント
更新日: 2023.03.16目次
不動産投資をする上で重要な「利回り」ですが、表面利回り、実質利回りなど種類もあり、よく分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、3つの利回りの種類や、計算方法、注意点について解説をします。
利回りとは
不動産投資のために収益物件を購入する場合、購入するための指標として利回りを確認します。
この利回りには、表面利回りと実質利回り、想定利回りがありますが、同じ利回りという言葉でも内容が異なります。
収益物件を購入するとき、投資計画を立てるには、表面利回りと実質利回りとの違いを把握しておかなければならなりません。
本記事では、表面利回りと実質利回りの違いや、代表的な政令指定都市での利回り相場、利回りについて注意しなければならないことなどを解説します。
表面利回りと実質利回り・想定利回りの違い
利回りには、表面利回りと実質利回りがあり、それぞれの利回りは内容が異なります。
ここからは、表面利回りと実質利回りについて解説していきます。
表面利回り(グロス)とは
表面利回りはグロスとも呼ばれ、年間家賃収入を購入物件の価格で割った数字のことをいいます。
表面利回りの具体的な計算式は、次のとおりです。
年間家賃収入 ÷ 物件購入価格 × 100 = 表面利回り・グロス(%)
このように表面利回りは大雑把な計算方法をします。
そして、不動産の物件資料には表面利回りが掲載されていることが多くあるため、表面利回りではなく、実質利回りはどのくらいなのかを不動産会社に問い合わせることが大切になってきます。
実質利回り(ネット)とは
実質利回りとはネットとも呼ばれ、年間家賃収入や購入物件の価格だけではなく、年間にかかった経費や購入物件にかかった諸費用などを考慮して計算した数字のことをいいます。
実質利回りの具体的な計算式は、次のとおりです。
(年間家賃収入 – 年間にかかった経費)÷(物件購入価格 + 購入にかかった諸経費)× 100 = 実質利回り・ネット(%)
想定利回りとは
想定利回りとは、空き室がある収益物件が満室になったときの想定で計算した利回りのことです。
想定利回りの具体的な計算式は、次のとおりです。
満室になったときの予測年間家賃収入 ÷ 物件購入価格 × 100 = 想定利回り(%)
主要都市の表面利回り相場
利回りは各地域で相場があり、各都市で利回りに対する期待数字が異なります。
2022年に一般社団法人日本不動産研究所が実施した不動産投資家へのアンケートによると、不動産投資への投資姿勢は積極的なまま推移しており、期待利回りの下がっているとの結果が出ました。
積極的な姿勢の背景には、国際的には不安定な情勢になったものの、国が引き続き金融緩和を図る方針であることが影響しています。
各都市での期待利回りを表にまとめてみました。
各都市の期待利回りを見ると、人口が多い都市ほど利回りが低くなっている傾向があります。
これは、人口が多いほど入居者が多く空き家リスクが低下することや、土地の価格が高値で安定するなどのメリットがあるため、投資として適していると判断されるからです。
利回りの計算シミュレーション
表面利回りと実質利回りでどれくらの利回り数字に違いが出るのかシミュレーションを用い、計算をしてみます。
シミュレーション例
①物件購入代金:3,000万円
②購入諸費用:250万円
③年間家賃収入:200万円
④年間にかかる経費:50万円
このような例で利回りを計算してみます。
面利回り
③200万円 ÷ ①3,000万円 × 100 = 約6.6%(表面利回り・グロス)
実質利回り
(③200万円 - ④50万円)÷(①3,000万円 + ②250万円)× 100 = 約5.4%(実質利回り・グロス)
上記の計算の通り、表面利回りと実質利回りでは利回りの数字が異なります。
投資計画をする場合は、より現実に近い数字を用いるべきなので、実質利回りで計画を立てることが重要です。
利回りで注意すべきポイント
投資計画を立てる際には、利回り表示で注意すべきことがあります。
ここからは利回り表示で注意すべきポイントを3つ解説していきます。
どの利回りで表示されているかを確認する
利回り表示で注意しなければならない事項の1つ目は「どの利回りで表示されているかを確認する」ことです。
シミュレーションで計算したように、表面利回りと実質利回りでは利回りの数字が異なります。
そのため、利回り表示がどのような計算方法で計算されているのか確認する必要があります。
特に、想定利回りには注意が必要です。
想定利回りは表面利回りで計算されていることが多く、家賃の最高額で計算されていることもあります。
例えば、5,000万円の収益物件で空き室の最高家賃が7万円、平均家賃が5万円、空き室が4戸あったとします。
そうすると、最高家賃での年間収入336万円、平均家賃での年間収入は240万円になります。
また、これを表面利回りで表示すると、最高家賃での満室想定表面利回り6.7%、平均家賃での満室想定表面利回り4.8%と、かなりの差が出てしまいます。
このようなことがあるため、利回り表示はどのように計算されているのかを確認しておくことが重要です。
利回りが高すぎる物件は理由を確認する
利回り表示で注意しなければならない事項の2つ目は「利回りが高すぎる物件は理由を確認する」ことです。
利回りが高ければ高いほど、運用は楽になりますし、黒字化を容易に図れるようになります。
しかし、利回りが高いからと言って、良質な収益物件とは呼べないこともあります。
利回りが高くても良質な収益物件と呼べない主な理由は、次のとおりです。
- 旧耐震基準で大地震がきたときに倒壊するおそれがある
- 駅からかなり遠いなど出口戦略が立てづらい物件
- 賃借人にトラブルを起こす人が住んでいる
- 敷地が借地権
- 管理状態が悪く築年数の割に老朽化しているように見える
- ただ単に不動産会社が資料を作るときに計算ミスをしているだけ
このように良い物件ではないことを利回りでカバーしていることがあります。
利回りだけではないリスクが多く存在しているため、管理上や権利上リスクがある場合には購入を見送るという検討をすることも大切なことです。
利回りだけでなく、他の要素も総合的に判断する
利回り表示で注意しなければならない事項の3つ目は「利回りだけでなく、他の要素も総合的に判断する」ことです。
利回り表示は収益物件の購入を判断する1つの材料であり、利回り表示だけで購入を決めるのは良くありません。
前述のように、利回り表示は高いが維持費が極端に高額になったり、管理や権利上の問題があったりする収益物件の場合があります。
また、逆に利回りは低いが、運用が安定するような好立地に建築されていたり、質の良い建材を利用しておりメンテナンスに費用があまりかからなかったりする場合もあります。
そのため、利回りは収益物件購入の1つの指標として考え、利回りだけで収益物件を購入しないようにすることが重要です。
よくある質問
Q1. 利回りとは何ですか?
収益物件を購入する際の指標です。
表面利回り、実質利回り、想定利回りがあります。
Q2. 不動産投資では、表面利回りだけ確認しておけば良いですか?
単純な比較時点においては表面利回りだけ見る場合もあります。
実際に購入を検討する段階では、必ず実質利回りを確認してください。
Q3. 利回りの計算方法を教えてください。
・表面利回り(グロス)▶︎年間家賃収入 ÷ 物件購入価格 × 100
・実質利回り(ネット)▶︎(年間家賃収入 – 年間にかかった経費)÷(物件購入価格 + 購入にかかった諸経費)× 100
・想定利回り▶︎満室になったときの予測年間家賃収入 ÷ 物件購入価格 × 100
Q4. 東京都の表面利回り相場を教えてください。
4~4.2%程度です。(一般社団法人日本不動産研究所の調査による)
ただし、同じ東京都の中でも、立地や建物条件によって大きく異なります。
Q5. 不動産投資において、物件情報を見るときに注意するポイントはありますか?
どの利回りで表示されているか確認しましょう。また、利回りが高すぎる物件は訳ありの可能性がありますので理由を確認するようにしましょう。
Q6. 不動産投資で利回り以外に見るべきポイントはありますか?
物件そのものの状態、ランニングコストの値上がりがないか、修繕履歴はどうなっているか、売却時に問題ないか、オーナーチェンジの場合は賃借人の属性が問題ないかなど、総合的に確認する必要があります。
まとめ
利回りには表面利回りや実質利回り、想定利回りなどの種類があります。
それぞれの利回りの種類によって計算方法や表示されるパーセンテージが異なります。
投資計画を立てる場合には、現実に近い数字を用いることが必要なため、実質利回りを基準にしておくと良いでしょう。
しかし、あくまで利回りは収益物件を購入するための判断材料の1つであり、いくら実質利回りが良くてもそれだけで購入してはいけません。
利回りが高いのには理由があることが多く、だいたいこの理由は運用に大きなマイナス影響を及ぼすことばかりです。
利回りだけを見ていると利回り以外のマイナス点を見落とすことがあるため、収益物件を総合的に見てから購入をすることが不動産投資にとって重要なことになります。
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