離婚で家を売ることになったら、まずは「税金額」と「負担割合」を試算してみよう!
更新日: 2023.03.08目次
離婚が決まり家を売ることになったら、セットでついてくるのが税金についての疑問です。
この記事で分かること
・譲渡所得税とは何か
・譲渡所得税の計算方法
・共有名義のときにどちらが税金を負担するのか
・売却決意〜納税までのおおまかな流れ
離婚で家を売るときにかかる税金とは?
不動産を売却する際には税金がかかり、売却益が大きければかかる税金も高額になるので、どのような税金がいくらぐらいかかるのか、また適応できる控除があるのか、課税時に慌てないよう確認しておきましょう。
売却時にかかる税金は「譲渡所得税」
離婚によって家を売る際、売却益が出た場合は譲渡所得税がかかります。
譲渡所得税は売却価格すべてに課税されるのではなく、不動産を購入したときにかかった費用や売却したときにかかった費用を差し引いたもの、つまり売却益が譲渡所得となります。
譲渡所得税の計算方法
譲渡所得税は譲渡所得額に対し課税されますが、不動産を購入したときにかかった費用を取得費、売却したときにかかった費用を譲渡費用として以下の計算式で譲渡所得額を求めることができます。
売却価格-(取得費+譲渡費用)=譲渡所得額
そして算出された譲渡所得額に一定の税率をかけて計算しますが、その不動産の所有期間によって税率が2パターンに分かれます。
所有期間が5年以下で短期譲渡所得、5年超で長期譲渡所得となり、それぞれ以下の税率と計算式となります。
短期譲渡所得
譲渡所得×39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)
長期譲渡所得
譲渡所得×20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)
例として、売買代金5,000万円、取得費3,300万円(減価償却費を差し引いたものとする)、譲渡費用が200万だった場合を計算式に当てはめると以下のような譲渡所得税額になります。
5,000万円-(3,300万円+200万円)=1,500万円(譲渡所得額)
短期譲渡所得の場合
1,500万円×39.63%=594万4千5百円
長期譲渡所得の場合
1,500万円×20.315%=304万4千725円
短期譲渡所得の場合と長期譲渡所得の場合ではおよそ2倍の差がありますが、長期譲渡所得の場合でも相当な負担となります。
利用できる控除や特例はある?
家を売るときの譲渡所得にかかってくる税金には特例がいくつかあり、利用条件を満たせば譲渡所得税の負担を軽減することができますので代表的な控除をご紹介します。
それは「3,000万円特別控除」です。
3,000万円特別控除は期間や用途などの条件が特になく、譲渡所得のうち3,000万円を上限に控除することができる特例です。
特筆すべきは売買代金からではなく譲渡所得から控除できるので、3,000万円以上利益が出ていなければ、譲渡所得税はかかりません。
購入金額と経費を含めた額より、売買代金が3,000万円以上も高く売却できることは稀ですので、多くの人が譲渡所得税を支払わなくて済みます。
仮に控除額より譲渡所得額が超えたとしても、超えた部分に対して税金がかかるので節税効果は大きいです。
3,000万円特別控除を利用する場合の税額はこのような計算式になります。
(譲渡所得額-3,000万円)×税率=譲渡所得税額
注意点としては、下記の控除や特例と併用できないので利用予定の方は確認しておきましょう。
- 買換え特例
- 譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例
- 住宅ローン控除
控除を利用したい場合は、3,000万円特別控除かその他の控除を選ぶことになるので、シュミレーションをして、節税効果が高い方を選ぶようにしましょう。
参考:国税庁|No.3302 マイホームを売ったときの特例
離婚で家を売るときかかる税金はどちらが負担する?
控除を利用しても譲渡所得税がかかってくる場合は、確定申告をして納税する必要があります。
そうなった場合、税金はどちらが負担することになるのでしょうか。
それは不動産が1人の名義になっているか、2人共有になっているかによって変わります。
所有者が一人の場合
不動産の所有者が夫婦どちらか1人の名義になっている場合は、2人の財産という位置付けだとしても、名義上の登場人物は1人のため、その人が確定申告をして納税することとなります。
所有者が二人の共有の場合
不動産の所有者が夫婦2人の共有の名義になっている場合は、それぞれが個別に確定申告をして、納税することとなります。
納税額の割合は一律半分ではなく、それぞれの共有持ち分に応じて課されます。
共有持ち分が夫2分の1、妻2分の1の場合
お互い2分の1ずつ負担することとなります。
夫3分の2、妻3分の1の場合
持ち分同様夫3分の2、妻3分の1の割合で税負担することとなります。
離婚で家を売るときの税負担の注意点
ここでは離婚で家を売るときの注意点として、2つご紹介します。知らずに損をしないよう確認しておきましょう。
1つ目の注意点
必ずしも確定申告した納税額を負担することはない点です。
納税の手続き上は納税義務者が課税された税金を納めなくてはなりませんが、夫婦間の協議で税負担を別途取り決めることができます。
離婚の理由はさまざまですので、財産分与や費用負担の割合はそれぞれです。
そのため、税負担も両者の折り合いがつく割合や金額に話し合って決めることができる点、覚えておきましょう。
話し合いで割合が納税額と異なった場合でも、決められた納税額は変更できないのでそれぞれ納税し、差額を夫婦間で清算する形となる点も注意が必要です。
2つ目の注意点
3,000万円控除は2人で3,000万円ではなくそれぞれ3,000万円まで控除が使える点です。
3,000万円控除は共有者全員で3,000万円の控除が使えるのではなく、共有者1人につき3,000万円まで控除が使えます。
例えば、共有持ち分が夫5分の3、妻5分の2で譲渡所得額が5,000万円あった場合
- 譲渡所得額は夫が3,000万円
- 妻2,000万円
となりますのでそれぞれ3,000万円まで控除が使えるのでそれぞれ譲渡所得税はかかりません。
譲渡所得額が5,000万円だから3,000万円控除を使っても2,000万円の部分に課税されるものとして計算しないよう注意が必要です。
家を売却する際の流れは?
離婚するにあたり、財産の処分方法として家を売ることに決まったときの流れを、処分決定から納税まで大まかに以下の手順があります。
(1)不動産会社に査定を依頼
(2)媒介契約を締結
(3)売却活動
(4)売買条件の合意
(5)売買契約
(6)決済
(7)確定申告
(8)納税
処分決定から買主確定まで
まず、処分が決定したら不動産会社に査定を依頼します。
不動産会社は物件調査をおこない、分譲マンションなどで1棟などで1週間以内、戸建てなど土地の調査が必要なものだと1~2週間ほどの期間で査定額が出てきます。
そこから売却の条件をすり合わせ、不動産会社と売却条件や報酬額の定めた契約書を作成し、媒介契約を交わし売却活動を始めます。
売却活動が始まると不動産会社が広告宣伝を行い、購入希望者を募ります。
内見や条件の交渉などをおこない、条件に折り合いがつけば購入希望者から買付申込をもらい、売主が売却の承諾をすれば売買条件の合意となり、売買契約へ移行します。
売買契約から決済まで
買主が確定したら、さっそく売買契約に移ります。
不動産会社が売買契約書類を作成し、売主買主お互いに、記名押印をして売買契約の締結となります。
そして無事に売買契約が締結できれば、売買代金の受領とともに不動産を引き渡す決済日を決めます。
売却する家に住んでいる場合は、決済日までに退去し、引き渡しができる状態にしておく必要があります。
売買代金の受領とともに不動産を引き渡しが問題なく完了すれば、不動産売却は完了です。
売却後から納税まで
家を売却して処分が完了したら、最後に確定申告して納税をします。確定申告は家を売った翌年の2月16日〜3月15日までの間におこないます。
サラリーマンの方などは、会社の給料などの確定申告とは別で、個々におこなわなければならないので注意が必要です。
確定申告をおこなった年の6月頃に納税通知書が届くので、納税をすれば流れはすべて完了になります。
よくある質問
Q1. 家を売却したときにかかる税金は何ですか?
家を売却して、売却益が出た場合は、「譲渡所得税」という税金がかかります。
Q2. 譲渡所得税とは何ですか?
譲渡所得税とは、譲渡所得に対して課される税金です。
譲渡所得額 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)
税率は、所有期間5年未満で39.63%、5年以上で21.315%です。
Q3. 家を売るときに使える税金の特例はありますか?
3,000万円特別控除があります。
ただし、買換え特例、譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例、住宅ローン控除と併用はできません。
参考:国税庁|No.3302 マイホームを売ったときの特例
Q4. 離婚で家を売ることはよくあることですか?
離婚で自宅を売却することはよくあります。
状況によっては、仲介だけではなく、買取やリースバックという手段も効果的です。
Q5. 離婚で家を売るときによくあるトラブルはありますか?
共有名義で、夫婦の意見が異なることでトラブルになることがあります。
話し合うことが嫌でも、どのように売却を進めるのか、金額や期間のデッドラインはどこなのか話し合うようにしましょう。
まとめ
離婚によって家を売る際、売却益が出た場合は譲渡所得税がかかります。
譲渡所得税は計算方法があり、さらに特別控除などがいくつかあるので利用して節税をしましょう。
税負担は所有者に納税義務があるので、1人の名義になっているのか、共有名義になっているのか確認が必要です。
処分することが決まったら、家がいくらで売れるのかまず不動産会社に相談してみましょう。
ネットの不動産屋さんならWEBURU(ウェブル)
WEBURUは、オンラインに特化した不動産仲介サービスです。
売却の相談から売買契約まで、原則オンラインで対応をしています。
WEBURUで売却するメリット
・夜間に相談できる(オンライン相談は24時まで対応OK)
・仕事のあと、帰宅してから相談や契約ができる
・交通費や、移動にかかる時間を節約できる
・電子契約では、印紙代がかからない
忙しくてなかなか仲介会社に相談に行けない方や長時間の外出が難しい方、時間を効率的に使いたい方におすすめです。
また、仲介だけではなく買取にも対応しております。
WEBURUでは、誠実さを大切にしており、媒介契約を取得するためだけの誇張した査定はいたしません。
離婚による自宅マンションの売却を検討している方をはじめ、一人ひとりに合わせたマンション売却サポートをいたします。
ぜひ、気軽にご相談ください。